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コンサルティングの活用はその効果と併せてリスクも理解しておく必要があります。総論的になりますがいくつかの重要なポイントを押さえて有効なコンサルティングの導入を検討してください。
問題解決手法の基本パターンとその違い
成否のカギを握るのは“コンセンサス”
人材力を上げるアクションラーニング
コーチングの導入と注意点
成果主義導入への注意点
研修・セミナーの活用の仕方と注意点
 
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問題解決手法の基本パターンとその違い
   
(1) 様々な問題解決手法が紹介されていますが、その多くは実は基本的なパターンを同じくしています。
○○法や○○手法と表現されてオリジナリティーを表現しているようにも見受けられますが、細部の設計を除外すれば基本パターンは、
  (1)現状分析(現状把握)
  (2)重要問題の発見と原因分析
  (3)課題の設定
  (4)解決手段としての戦略(仮説)の立案
  (5)戦略(仮説)の実施と成果の検証・修正     です。
  メンタル要素の大きいビジネスコーチングや科学的分析や論理構成を重視する方針管理、学習のプロセスを重視するアクションラーニングやワークショップ中心の問題解決プログラムに至るまで、基本的なプロセスに大きな違いはありません。ただ、そのプログラムを実施し現実的な問題解決を図る上で重要視するコンセプトが異なってきます。コーチングでは自創する事に重点を置き個々の潜在能力を引き出すためにコーチが大きな役割を果たしますし、アクションラーニングでは単に目先の問題解決に焦点を合わせるだけではなく問題解決能力自体を実践学習によって高めることに重きを置きます。一方、方針管理手法等においては分析や戦略立案が科学的(論理的)に行われ、ある意味で問題解決への最短かつ高効率を目指す手法と言えるかもしれません。さらには分析から戦略の立案までをコンサルタント自身が全て請け負って実施してしまうと言った極端なケースもあります。つまり手法の基本的サイクルはほぼ同じ(Plan→Do→Check→Action)であってもコンセプトやプロセスの構築方法がそれぞれ異なっているわけです。
(2) 目指すものが目先にある短期的な問題解決なのか、それとも中・長期的な手法の定着やスキルアップなのかによって導入手法の選択基準が違ってくることから、企業として何を得ようとするのかを明確にした上で導入する手法や依頼するコンサルタントの検討をする必要があります。
  どの手法が良いのか悪いのか、どのコンサルタントが良いのか悪いのか、という基準ではありません。どの手法にもどのコンサルタントにもおそらく長所と短所は存在します。目的にあった選択であれば長所が芽を出し、目的からずれた選択であれば結果的には短所が大きく根を張ってしまうでしょう。
  全てにマッチする万能の手法など存在しないという事と基本的な活動のサイクルはほぼ同じという二つの前提を踏まえ、それぞれの手法に込められている重要なコンセプトを理解することがとても重要なポイントです。ちなみに最近の例で見てみると、成果主義人事を導入された企業の中で成功した会社と残念ながら上手くいかなかった会社では何が分かれ道となったのかを分析してみると大きな気付きが得られるかと思われます。
  逆にコンサルタント側も扱う手法の優れたポイントばかりを美辞麗句を並べてアピールするのではなく、クライアントの立場に立ち適切な選択ができるよう正確なプレゼンテーションを心がけることが業務における義務だと考えます。
 




 
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成否のカギを握るのは“コンセンサス”
 
結論から申し上げます。コンサルティングを活用し問題解決を図ったり新たな経営手法を導入しようとする場合、社員のコンセンサスを得ることができたか否かが成否を大きく左右します。
わかりきった話ですが、全ての仕事は人によって行われます。人の行動の源は感情です。したがって新たな仕事に取り組んだりこれまでのやり方を変えようとする場合、感情の承認=コンセンサスを得ずしては成り立つはずがないのです。
(1) コンサルタントは基本的には専門知識や手法を使ってクライアントから依頼を受けた問題の解決にあたります。内容は多岐にわたりますが単なる分析から企業活動の根幹にかかわるものまで業務に何らかの変化を要求します。理論的には正しくとも、そこには多かれ少なかれ感情的抵抗が必ず発生します。人は感情で動くのですから、たとえ理論的には正しいことがわかっていたとしても感情面での承認をしない限りはパフォーマンスが上がることは期待できません。たとえ一時的にパフォーマンスが上がったとしても、それはあくまでも一時的だと考えるべきでしょう。
(2) では社員のコンセンサスを得る活動の責任はコンサルタントが負うべきなのでしょうか、それともあくまでも社内で消化すべき問題なのでしょうか。クライアント企業の過去の歴史や社員一人一人の特性まで把握することはコンサルタントと言えどもさすがにムリでしょう。しかし、新たな手法の導入等による経営の改革やこれまでとは異なる業務の進め方を導入しようとする場合に感情面での抵抗が生じること自体を予測することは可能ですし、予測しなければなりません。予測が可能ならば事前に対策の準備をすることも可能ですし、その重要性を考えるとかなりのウエートを置く必要があります。またこの活動はクライアント企業との強い協力体制で臨む必要があります。さもないとコンサルタントがいる間は順調に進んでいるように思われた活動が、コンサルタントが去るや否や堰を切ったように噴出する感情的な抵抗によってあっという間に元の姿に戻ってしまう可能性があります。
(3) どのような改革も全ては社員一人一人のパフォーマンスの積み重ねの上に成り立っています。その一人一人がパフォーマンスを上げることができるかどうかの源は“強制”ではなく“自発”にかかっています。強制による行動など所詮長続きはしないものです。たしかに最初は時間がかかるかもしれませんが、一人一人が納得して行動する源となる“コンセンサス”を得るための働きかけに対して手間隙かけることを惜しまず、またコンサルタント自身がその点についてどのような認識や価値観を持っているかの事前確認に十分な注意を払う必要があります。
  同じ手法を導入した企業なのに成否が大きく分かれた主たる原因の一つがコンセンサスという基本的な部分にあったということが過去の重要な経験です。
 




 
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人材力を上げるアクションラーニング
 
人材の育成や問題解決手法の導入において重要な要素にアクションラーニングがあります。
とある経営書では「アクションラーニングとは経営現場で生じている問題(特に難しい問題)をグループで検討し、解決策を実施し、それを通じて学習の仕方を併せて学習するものである。したがってアクションラーニングは実際上の複雑でストレスの高い問題に責任を持って取り組み、今後の観察可能な行動を改革するべく意図的な変革を達成するため、その課題に求められる知的・情緒的・物理的展開である。」と定義付けられています。少し解り難いかもしれません。噛み砕いて言うと、与えられた課題に取り組む場合に単に答えや解決を目指すのみに留まらず、そのプロセスを経験しながら学習の仕方自体を学び、対応力と基本的な思考力の底上げを図ることを大きな目的としていると言うことです。これはコンサルティングを導入する場合においてとても重要な要素です。
(1) 過去にコンサルティングの導入経験を持つ企業の方々から次のような言葉をよく聞きます。
「知識やスキルの習得はできたと思うのだが、実際の仕事でどう生かしたらいいのか解らない。」
「コンサルティングを受けた問題以外への応用がきかない。」
「コンサルティングを受けている間はモチベーションが上がるのだが、それを維持できない。」
                                        等 々。
  わかりやすい例で見てみましょう。多くの方がゴルフをした経験があると思います。練習場に通い技術の向上に汗を流し、レッスン書も読みます。それでも上手くいかないときにはレッスンプロに教わったり上手な人から習ったと思います。そして練習場では確かにいいショットが打てたはずです。ところが、いざコースに出てみるとナイスショットどころかどう打ったらいいのか解らない複雑な状況判断を求められる場面に出くわし四苦八苦します。ところがその後練習場に行くとまた同じことを繰り返し練習場ではナイスショット。練習場では上手くいくのにコースへ出るとさっぱりの連続。俗に言う“練習場シングル”です。逆にショット自体はそこそこなのに、コースマネジメントのとても上手い人がいます。過去の経験の積み重ね方、つまり“学習”の上手い人です。ましてやプロゴルファーならばドラコンやニアピンではなくコースマネジメントで勝負し、トータルスコアーで勝たなければなりません。それも毎週違うコースで・・・。
  企業活動ではゴルフとは比較にならないほど複雑な課題や問題が発生しています。ある一つの問題解決のためにコンサルティングを活用した場合に単に問題解決のみを目的にしてしまい、後に新たな問題が生じたときにお手上げ状態。再びコンサルタントに依頼すると言うケースをよく見かけます。
  コンサルタント側にしてみればうれしい話かもしれませんが、企業の問題解決能力自体が成長していません。
(2) コンサルティングを活用する際、問題解決と併せてアクションラーニングを導入することにより、一時的な問題解決や知識・ノウハウの習得に留まらず、学習の仕方自体を学ぶことにより個々のスキルアップを組織としてビルドアップし、変化に対応しながら自ら考える習慣をつけ企業力としての強みにしていくことを可能とします。
  コンサルティングの活用の仕方も変化(進化)し、コンサルタントには適宜必要と思われる専門知識やフレームワークを提供してもらい、それを実際の業務で効果的に活用できる高いパフォーマンス集団となることを可能にします。
  実際にアクションラーニングを取り入れている企業を知っていますが、当たり前のようにとても質の高い問題解決をしていました。これが企業としての実力というものなのかと実感させられました。
  一見遠回りのように見えるかもしれません。しかし“人材”という企業にとって最も重要な資源を最大限に活用するための非常に有効な手段として、アクションラーニングを継続的に導入し人材力と組織力の底上げをしていくことを経営者の方々には是非ご検討いただきたいと思います。
 




 
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コーチングの導入と注意点
 
近年、コーチングが大流行です。かく言う当事務所もコーチングの仕事をお受けしているので、コーチングという手法を活用することによってもたらされるメリットや効果は十分理解しているつもりです。しかしその反面、これまでお会いしてきた“コーチ”と名乗る方々の中に大きな疑問と危険性を感じてきた事も確かです。コーチングという手法はメンタルな面に対する働きかけが大きいだけに、誤った使い方や本質を理解できていないコーチに当たってしまったときの弊害を事前に理解しておく必要があると思います。
(1) まず大きな問題として、ビジネスの世界でほとんど実務経験のない人がコーチングの手法を講習会等で習得しただけで“ビジネスコーチング”を行っている場合です。
  コーチングの大前提としてコーチは答えを出しません。コーチはクライアントが潜在的に持っているものを引き出してあげ(顕在化させ)、混沌とした方向性の定まっていなかったものに対しては思考を整理し方向性を見出すためのサポートのために専門技法を活用します。その活動自体は効果的なすばらしいことなのですが、その導き出された答が積み重ねられていく方向性ははたして適切なのでしょうか? いくらビジネスの世界に正解はないといっても基本や原理原則は存在します。実務経験豊富なコーチならば「方向性が少しずれてきている」とか「考え方が論理的に考えるとおかしい」とか気づき、方向修正ができるようなコーチングを行うはずです。全てにおいて己の考えのままに従うことが全て良いという訳ではありません。“ビジネスコーチング”を行うコーチの方にはコーチングと併せて実務的な問題解決手法やロジカルシンキング、さらにはファシリテーション能力等も持ち合わせていただきたいと考えます。
(2) コーチングの実例を検証してみると目標到達点を設定することのないまま、ただ闇雲にコーチングを行ってしまう例をまれに見かけます。目的や目標をある程度でも明確にすることのないまま行動してしまうことはとても危険です。目指すものがハッキリしていないのですから現状の方向性が正しいのか否かの判断すらできないはずです。コーチがそのレベルであるならば、コーチングを受ける側は当然消化不良を起こし続けてしまいます。
(3) コーチングだけで全てが補えるわけではないということを事前に認識しておくことも重要なことです。確かにコーチングは効果的な手法です。普段の生活や仕事の中で自己に問いかけたり、自己の考え方や方向性を一時立ち止まってチェックしたりすることはあまり無いことでしょう。自己がこれまでに築きあげてきた考え方のフレームワーク(パラダイム)に対して質問やアドバイスを投げかけてもらい、ブレークスルーを引き出すことができればそれは大きな前進となるのですが、自己の中から引き出したものだけで全てが解決できるとは限らないということに対してのリスクマネジメントがコーチングの実施では必要となります。特にビジネスの世界においては他者との関りが大きな要因となるため、コーチが持つプラスアルファの引き出しの多さとそのアレンジ能力が大きなポイントとなります。
  講習会や理論書だけで習得したコーチング技法だけに頼っている付け焼刃的なコーチでは、俗に言うお手上げ状態に陥ってしまいます。
(4) コーチングに限らず、一つの手法で全てが解決できる「魔法の手法」などありません。そのことを認識された上で、効果的にコーチングを活用していただきたいのですが、そのためにもコーチの実力をしっかりと見極めることが重要です。特にビジネスコーチングにおいては小手先の手法よりもコーチ自身の総合力がポイントとなるはずです。認定の資格を持っているかどうかなどということはあまり重要視しないほうが良いかもしれません。普段の仕事を進めている中で無意識のうちにすばらしいビジネスコーチングを実行している方々も沢山いらっしゃるのですから・・・。
 




 
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成果主義導入への注意点
 
成果主義についての議論が専門家やコンサルタントの間で活発に行われています。しかし、制度というものは使い方次第で善にも悪にもなるもの。経営に正解無しというように成果主義にも正解無しと言えるようです。では何がポイントとなってくるのでしょうか・・・?
(1) 成果主義人事や成果主義賃金について多くの書籍も出版され、賛否両論が飛び交っていますが大きな方向性として成果主義の傾向が強まっていくことは疑いようのない事実だと考えるべきでしょう。・・・と言うよりは、企業の存在自体が市場全体からの成果主義の評価により成り立っているのですから、その企業の内部管理に成果主義を導入することに対して異論を唱えること自体がおかしいのかもしれません。
  ただし、よく考えなければならないことは「成果主義を何のために導入するのか?」ということです。少なくとも給与や他の処遇に差をつけて一部の優秀な社員を優遇することが成果主義だと考えるのは大きな誤りです。
(2) 人事部の方に同じような質問を投げかけると良く返ってくる答えとして次のような答えがあります。
  「同じ仕事をしても成果を出した人とそうでない人がいるのだから賃金の格差をつけるのは当たり前のことです。」と。決して間違いではないと思います。
  次に「では評価した後はどうするのですか?」と訊ねると多くの答えは「各自が頑張るしかないですね。」です。人事部がただの給与計算部になってしまっています。
  皆の業績が悪かったので皆の給与を下げた。その後も業績は改善されず結果として会社自体が倒産してしまった場合どう考えたらよいのでしょうか。成果主義賃金の運用自体はできています。
  あまりにも極端な例ですが、成果主義をもっと本質的に考える必要があるのではないでしょうか。
  成果主義の人事評価制度や賃金制度を作成する前に企業としての基本理念や価値観をしっかりと作り、それに基づいて制度へと落とし込み、各制度の整合性をとるべきではないでしょうか。
  コンサルタントの中には制度の構築を請け負う方々も多くいらっしゃいますが、あまりにも一つの独立した制度としての完成度を追求しすぎるケースが多く見受けられます。理念無き制度はとても危険なものであり、その制度に対してコンセンサスも得ないままに当てはめられた社員は大きなストレスを持ち続け、結果としてパフォーマンスが低下してしまいます。本来はパフォーマンスを向上させるための一手段であるはずの制度が一人歩きし、担当者も制度運営に全力を注ぎ、更にはコンサルタントが後押しをしてしまいます。
(3) 成果主義はハード・ソフトの両面において社員一人一人に与える影響が大きいため、その導入プロセスは慎重に行わなければなりません。ましてや専門家として依頼するコンサルタントの選定は慎重に行う必要があります。制度構築のための専門知識やテクニックも大切ですが、コンサルタント自身が企業経営や人事に対してどのような考え方や価値観を持っているかの確認を怠らないようにすることがコンサルタント選定の重要ポイントだと思われます。そしてコンサルタントが企業の理念や価値観をしっかりと捕らえた上での制度設計をするのであれば、その理念や価値観を具現化した制度に対しては社員のコンセンサスの得られたプロセスがある程度は構築されていくはずです。
(4) 成果主義の構築にもっとも大きな影響を及ぼすものが“評価”です。おそらく成果主義を運用する上での最大の難関が評価ではないでしょうか。人事考課制度を変更する場合に必ず行われるのが考課者訓練です。多くのコンサルタントが考課者訓練を請け負っています。期間は一日から二日で内容は新たな人事考課制度の理論的な説明やリスク要因の説明等の後にケーススタディーを行うというパターンが多いかと思われます。ここで注意しなければならないことは、研修のための研修であってはならないということです。研修は過去の経緯や歴史を引きずっていないため、当然ながら客観的に行われますし随時軌道修正が行われます。ところが職場に戻ると研修のとおりには行きません。過去の経緯もあれば感情も入ります。つまり主観が大きな阻害要因として立ちはだかります。そして多くの失敗事例の書籍に書かれている通りの混乱が生じます。しかし、この混乱は本来予測できる混乱であり、コンサルタントは必ず予測して対応策を事前に準備おかなければなりません。また、評価した後のフォローとサポートに注ぐエネルギーがあまりにも少なすぎるようです。評価すること自体が本来の目的ではないはずなのですが・・・。
  運用レベルで生じることが判りきっている問題に対してコンサルタントは関る義務があるはずなのです。しかし現実には多くのコンサルタントは制度を作成した時点で去り、その後は状況確認の連絡を入れたり人事担当者の要望に応じた対応をする程度の場合が多く見受けられます。あえて深く関ろうとはせず、手離れを良くしたいのです。少し無責任な気がします。制度構築の技術や知識の提供だけではなく、どの段階まで深く関ってくれるコンサルタントなのかを事前に見極めることが重要です。
(5) 成果主義を導入して給与や処遇に差をつければ皆のモチベーションが上がるなどという都合の良い論理は再検討の必要があると思われますし、そのような主張をするコンサルタントには要注意です。これまでに成果主義人事制度を導入された沢山の企業とお会いしてきましたが、その多くが本来の成果主義とは程遠く、給与制度で言えば単に一定の限られた原資の配分方法の変更であり、人事制度で言えば長期戦略の欠けた目先の短期成果主義人事であり、運用次第では企業力を逆に弱体化させてしまう危険性すら感じ取れるものでした。
  流行りの理論や制度を取り入れる以前に企業の理念や価値観をしっかりと構築し、皆で共有することにより地に足の着いた、さらには根を張り巡らした強い企業体質を創るための効果的手段として成果主義の導入を検討いただければと切望します。その上での実務的な制度の設計ならば大きな軌道のズレなく効果的なものになるのではないでしょうか。
 




 
   
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研修・セミナーの活用の仕方と注意点
 
企業の多くが人材育成等のために取り入れている手法に研修の実施やセミナー(講習会等を含む)の受講があります。
内容は多岐にわたりますが、知識や手法を習得するための「ノウハウ系」とモチベーションやリーダーシップ・組織運営などに関わる「人材系」、そして本音で語ろうの「コミュニケーション系」の3大カテゴリーに大別することができるかと思います。スキルアップという言葉もよく使われますが、あまりに漠然としているため、ここでは除外します。
(1) 「ノウハウ系」の研修やセミナーの場合、当然のことながら新たな知識やノウハウが得られるわけですから、研修終了時にはある程度は確実な成果を得ることができ、効果的であったような気がします。
  しかし、よく考えてみましょう。目的は「知識の習得」止まりではなかったはずです。ただ知識を習得するだけならば、山のように氾濫している“ノウハウ本”や“理論書”を読むだけでもある程度の習得は可能ですし、現実問題として専門書に書かれている内容を時間をかけてただ説明しているだけの講師やコンサルタントをよく見かけます。本来の目的は研修やセミナーで得た知識やノウハウを現実の問題で活用し、いかにパフォーマンスにつなげるかであるはず。そして、受講した人の多くが皆悩むのです。『理屈はわかった。でも現実はその通りにいってくれない。どうしたらいいのだろう?』と・・・。
  社内の教育・研修担当者も、実際に研修を実施した講師やコンサルタントも、研修終了時にアンケートなどにより研修の効果を測定しようとするため、「よい研修だった。」との答えが返ってくるのはあたりまえですし、その後に関しての追跡調査はあまり行われません。
  理論と現実(実務)には大きなギャップが生じます。そのギャップを解決しながら仕事の成果を出し続けることが一番難しい問題なのですが、研修もセミナーも一番重要なその部分はフォローしてはくれません。それは自分で考えろと言わんばかりに・・・。また、一番苦しいときにサポートしてくれるコンサルタントも意外に少なく、実はあえてその部分には手を出したがらないのかもしれません。
(2) 次に「人材系」の研修やセミナーですが、確かに研修を受けている期間はある程度の成果が実感できるのも確かです。ここでは解りやすくするために極端な二つの例で考えて見ます。
  まず一つ目は、以前に流行りました「自己啓発セミナー」系です。自分は自分であることを強調し、潜在意識を引き出すことによりモチベーションを高める内容に多くの人が共感し受講しました。
  (ある部分では現在のコーチングに通じるところがある様な気もしますが・・・)利害に関する何の制約もない会場内では“自己”を中心に考えることが許され、様々な価値観に対しても、どのような生き方の選択に対しても、否定されることがほとんどなく皆が激励・賞賛してくれる不思議な空間です。カルト的でさえあります。
  二つ目は、ある部分においては軍隊的でもある“特訓”形式の教育研修プログラム。研修の内容は断定的であり、あるべき姿が事前に明確に定義されており、研修の期間を通じて確実にあるべき姿に変身させることを目指します。その内容はかなりハードなものもありますが、短期間で人を変身させる(本当に変身できたかどうかは解りませんが)凄まじさにはそれなりに脱帽です。
(3) 最後に「コミュニケーション系」です。この研修は一見とても効果的に見えるのですが、中にはとてもたちの悪いものがあります(経験談です)。普段会社では言えない事を何でも自由に言い合える場を作り出します。研修が進むうち、ある瞬間を過ぎると堰を切ったように本音が出続けます。時には人間性を疑うような発言さえも発せられます。時には単なる吊るし上げや個人攻撃のような発言さえも・・・。
  しかし、研修報告書にも受講者のアンケートにも「本音で語り合えたとても意義のある研修でした。」と書かれるのです。研修という特別に設定された場で本音を語ったところで、会社に戻ればまた以前のようにオブラートで包まれたコミュニケーションが繰り返されるのは目に見えています。何故ならば、何も変わっていないのですから。それどころか、研修の場において普段とのギャップを目のあたりにした人たちは、自分が二度と攻撃されないよう常に予防線を張り続けるようにさえなってしまう可能性があるのです。どうすれば研修以外の場(職場)で本音をぶつけることができるようになるかが本来の重要なテーマだと思うのですが、研修担当者は研修期間内の内容で評価を出したがります。参加者にとってはとても辛い時間だけを送ることとなります。研修のための研修であっては意味がありません。何を目的としているのか理解に苦しむ内容のものも実際にありますので、よく検討する必要があると思われます。
(4) 代表的ないくつかの極端な例を紹介しましたが、それ以外の多種多様な研修やセミナーも多かれ少なかれ同じような要素を持っており、達成目標とするところも近いものがあるかと思われます。
  そこで問題としなくてはいけないのが“現実とのギャップ”なのです。研修のプログラム自体はほとんどが事前に出来上がったものであり、また事前打ち合わせも教育担当者や人事担当者のみと行われるため、実態にフィットしているかどうかの検証が不足がちになります。したがって各社にあわせてカスタマイズされることはあまり期待できないと思われます。
  研修の中では理解されたものがいざ会社へ戻ってみると周囲の理解を得ることができず、それでも自己を押し通そうとすると組織の中で浮いてしまう。また、研修会場という閉ざされた空間の中では正しいとされてきたものや良しとされてきたものを、そのまま会社に持ち帰るとマッチしない。
  そして結局は以前の姿に戻ってしまう(あるいは戻らざるを得なくなる)。しかし、よく考えてみれば当然のごとく発生する問題であり、実はそこが一番重要なポイントなのですが多くの研修やセミナーはこの一番重要なポイントには踏み込もうとはしません。なぜなら、そのようなの講師やコンサルタントは実務家ではなく“知識の専門家”だからなのです。
  研修やセミナーの中には大きな効果をもたらすものも確かにあります。しかし、やる気を持っていざ会社に戻ってみると上司も同僚も組織も以前のまま。ある程度の期間は孤軍奮闘してもみるのですが、結局は元の姿に戻らざるを得なくなってしまうのです。なぜなら周囲が成長していないのですから。これはとても重要な問題です。
(5) 多くのコンサルタントがよく次のように発言します。 「我々は依頼された研修はきちんとやっている。しかし、その成果や結果に対しての責任は取れない。そこから先は我々の仕事ではないし、成果など測りようがない。」と・・・。
  一言で言えば無責任です。極端な結論を言えば、このような研修やセミナーは決して採用しないことです。このような研修を担当する講師やコンサルタントは受講者や参加者のためではなく、仕事として自分のためにやっているだけなのですから。
  ビジネスとして割り切り、知識や時間を切り売りするだけの研修やセミナーを受けることは、社員にとって百害あって一利無しです。多くの人が混乱に陥ってしまいます。
  研修やセミナーという“手段”を何のために、どう活用したいのかをよく検討する必要があると思いますし、そこまで踏み込んで相談にのれる講師やコンサルタントを選んでいただきたいと切望します。
  経営者や人事・教育担当者の方々は、くれぐれもパンフレットや提案書に書かれている美辞麗句を鵜呑みにすることなく、メリットとデメリット・導入後のフォローや受け入れ側の対応等々を事前に十分検討するとともにコンサルタントの価値観や考え方を見極めていただき、労力を惜しむことなく情熱を持って人材の育成に取り組んでいただけることを心より期待いたします。
 
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